展示レポート

展示レポート Vol.3

2018/03/30

昨日は、佐藤美術館で開催されている、平成29年度 武蔵野美術大学 大学院修士課程日本画コース修了制作展を見てきました。

今回出品されている大寺史紗さんという方に一度お会いしたことがあり、作品はその時知らなかったものの、後からSNSを通して、かなり濃い世界感を描いている方だと知り、ずっと気になっていたのです。

 

展示は写真撮影不可だったので、チラシ写真を。

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こういった、大学の卒業制作の展示は基本的に入場無料ですが、今回はきちんとしたパンフレットも無料でいただけました。見開きで1名と、贅沢にページが使われていて、巻末に簡単な作家プロフィールが掲載されていて、良かったです。

会場となった佐藤美術館は、千駄ヶ谷駅から歩いて5分ほど。

佐藤美術館



私立美術館なのかなぁと思いつつも、公式HPには、公益財団法人佐藤国際文化育英財団により運営されているとしか書かれていないので、簡単に調べていたところwiki情報によると

「現在の公益財団法人の前身となった財団法人佐藤国際文化育英財団は、1990年3月に、第一不動産グループ創業者佐藤行雄によって、美術館の運営とともに、国内外の美術専攻学生への奨学援助や美術を通じた国際交流への貢献を目的に掲げて設立された。」

とのこと。第一不動産グループというのは既になくなっているそうですが、公益財団法人になって残っていたのですね。余談ですが、企業美術館が財団法人にする理由として、コレクションを株主から指図されないため、と、会社に万が一のことがあった場合に蒐集した美術品が離散してしまわないようにするため、ということを大学院のインタビュー研究で聞きました。今回のは、まさに後者が吉?と働いた感じですね。

ちなみに、佐藤美術館は日本画を中心に50点ほどをコレクションしていて、高山辰雄、上村松篁、小倉遊亀らの作品も含まれているようです。日本に存在する美術館は定義にもよるものの、広く数えると1000館以上もの美術館があります。個々の美術館が良いコレクションを持っていることは決して悪いことではないのですが、美術史を捉えなおすという意味でも、来館者を増やすという意味でも、日本の美術館が持つコレクションを見やすい形であつめて再構成できれば理想です。後から自国の文化を作っていく形で美術品を蒐集する東南アジアの国は、まさにそういった美術館の作り方をしています。

 

それはさておき!展示の内容ですが、

天井がかなり低めだったのがちょっと残念・・・。作品が大きかったので、もう少しゆったりと見れたら、と思ったものの、これは建物の作り上仕方ないですね。芸大の日本画に比べると、ムサビの日本画は薄塗り(絵具の塗りが薄い)なのだなぁという印象。もちろん、どちらが良いというわけではありません。どうしても「大学」という枠の展示だと、大学同士で比較してみてしまいます。ちなみに、多摩美はとっても大きい作品を描く印象。

 

今回目的であった、大寺史紗さんの作品は、和紙と墨と胡粉(白い絵具の日本バージョンだと思っていただければ)で描かれたもの。複雑な構成を、墨の深い色合いで表現していて、なかなか迫力がありました。ご本人の雰囲気やSNSの投稿からエロチズムがひとつの題材なのかなと勝手ながら想像していたのですが、実際に作品を見た時はそういう風には感じませんでした。エロを芸術へと昇華させているのか、あるいはもっとエロチズムを表現したかったけれど今回は叶わなかったのか、直接お会いしてお話しできなかったので、それは分かりませんが。ただ、大胆な伸びやかな線と、繊細な色使いは緊張感があって、これからどう作品を展開されるのか、とっても興味を持ちました。

大寺さんのSNSより、作品部分

大寺さんのSNSより、作品部分



また、もうひとつ、個人的には嬉しい出会いが。

川名春郎さんという方の作品が見ていて、どうにも引っかかり、ネット検索しまくっていたら、以前FBで誰かのタイムラインで流れてきて、なんとなくいいなと思った作品が川名さんでした。ネットからですが、写真元を記せば大丈夫でしょうか。ギャラリーなつかのHPより。gnatsuka.com/kawana-haruo-2018/

以前、みた作品

以前、みた作品



今回の展示で出品されていた作品は、だいぶ雰囲気は違いましたが、ちょっと気になった作品というのは、自分で思っているよりも覚えているものですね。個人的には、今回出品されていたものよりも、写真の作品の方が好きなのですが、表現を模索している段階なのでしょう。今後どう発展していくのか、川名さんの作品も今後ウォッチしていきたいです。

 

今月は、あとは

・山梨県の清春芸術村で開催される「高橋コレクション|顔と抽象−清春白樺美術館コレクションとともに」

・損保ジャパンFACE2018

を見に行く予定です。展示レポもそのうち。今回は展示会場で作家さんとお会いできませんでしたが、高橋コレクションの方は、作家リレーインビューの方で出品作家さんにインタビューさせていただきます。お楽しみに!

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