展示レポート

展示レポート Vol.4

2月19日に浅草橋駅から徒歩2分のところにあるギャラリー、マキイマサルファインアーツの展示を見に行ってきました。

TUASUKIという芸大生・芸大卒業生によるアーティストグループの展示に参加させていただいたことがあるのですが、そこで知り合ったささきたくやさんの展示告知を拝見したため、今回初めて伺ってみることにしました。

 

展示スペースは1階と2階にあり、1階ではダンボール彫刻家の本濃研太さんの展示が行われていました。

2階は2017年6月より『Asakusabashi_next』プロジェクトと題するアーティスト・ラン・スペースとして開放されているそう。ささきたくやさん、三村梓さん、平田守さん3名の作品が展示されていました。

 

まず初め、目当てのささきさんの展示場所は2階の奥のスペースでした。

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画材の個性を生かしたタッチで、紙も木片も自由にキャンバスにしてかわいらしい絵を描かれています。マチエル(絵具による凹凸)が強く一見抽象画のようにも見えますが、よく見るとドーナツや猫や天使が控えめに軽やかに描かれています。顔の描き方がシンプルでかわいらしい。

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ささきさんは美術系ではない他大学を経て東京芸大油画専攻を卒業されています。芸大の卒業制作展示で、暗室を一部屋まるごとブラックライトを用いたインスタレーションに仕立てられていたのが印象的でした。

 

お次は三村梓さんの作品。今回初めて拝見しました。台湾で見た風景を水彩画に起こしたものを展示されていました。

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モチーフは人々の日常、美味しそうな食べ物、きれいな景色など、素朴で身近な共感を感じるものでした。素材は紙に鉛筆やペン、水彩絵具。

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無二の個性や作家性を頑張って考え出して押し出したりしなくても、シンプルに好きなものを描くこと、そしてそれを続けること。絵描きは本来それで良いんじゃないか。描くことで人と競わなくてよいのではないか、そんな当たり前の大切なことを思い出させてもらえました。

旅行記の挿絵といった感じで、イラストレーション的に魅力的なタッチでした。

 

続いて、平田守さんの展示。

スペースの左側に集中しているのは、西洋絵画らしい図像をモチーフに、画素数の粗いデジタル画像を切り貼りしたかのように見えるキャンバス作品。現代アートらしい、コンセプトの強さを感じる作品群でした。データのバグった絵画、とでも言いましょうか。

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生で見ると粗めのドット感と色数の重なりで印刷のように薄く軽い画像なのだと認識できますが、写真に撮ってみるとものすごくリアルで重厚な写実画に見えるのが不思議。絵画と写真の関係をそこまで計算されているようで悔しいぐらいでした。

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平田さんの展示右側は、スマホで見かけるニュース記事をモチーフにした作品群。情報の溢れる現代、スマートフォン、図像のあり方…込められたメッセージを色々と想像できる余地があります。

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平田さんはインターネット上でお名前を拝見したことがありましたが、こういう作風なのだと今回初めて見ることができました。

 

最後に、マキイマサルファインアーツのメイン会場と思われる1階のギャラリーいっぱいを使ってダンボール彫刻作品を展示していた本濃研太さん。お面がほとんどでした。

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写真を見ていただけると多少伝わるかと思いますが、空間の迫力が、ただただすごい。何が彼をここまでお面に駆り立てたのだろう。生い立ちを伺ってみたくなる。

 

お面。体を覆う衣服と違って、その人自身を認識するために最も大切な「顔」というパーツを覆うお面は、他のものに化けるだとか自分を偽った表情をする際なんかに例えに使われたりする。儀式や魔術のような禍々しく恐ろしいイメージがある。

でもどこか滑稽でユーモラスな表情の彼のお面たち。楽しい気持ちになってくる。

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友人とお面を付けて写真を撮ったり遊んだりしたら大変に面白そうでした。

お面に交じって親切に鏡が設置されていました。

いろんな種類の顔があるにも関わらず、唇があるものは皺まで描かれたそこだけやけにリアルな質感なのがなんだか気になった。

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ダンボールという素材の身近さ気楽さも相まって、本濃さんは思想や何よりも作ることを本当に純粋に楽しんでおられるのだろう、とその途切れない熱量を感じられました。

 

こちらのギャラリーは人通りの多い道に面している訳ではありませんが、道の角に建っている上にガラスの窓が大きく、中の展示の魅力を建物の外からでも垣間見ることができました。今回の本濃さんの展示のパンチとパワーがすごかったという理由もあるかも?

 

傾向の異なる4名の作家の作品それぞれにゆっくりと向き合うことができ、充実した鑑賞を楽しむことができました。駅からのアクセスも近くてとてもよいですし、卒業したての油画の同級生が近いうちにこちらで個展をやるそうなので、是非また伺いたいです。

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(書き手)

清水悠子

1989年生まれ。

イラストレーターに憧れて美術を志す。東京芸大日本画専攻を目指して浪人を続けた6年目、油画専攻に転向して2014年同大学に入学。 大学での学びの中でアートと日本社会の関係に関心を持ち、MeltingPotの活動に参加し始める。代表の河口は、高校の後輩であり大学の先輩であるという、ねじれの構造。

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