作家リレーインタビュー

作家(リレー)インタビュー Vol.2

2018/05/20

さて、作家(リレー)インタビュー第二弾、特別版です!

括弧つき特別版!!というのは・・・リレーではないからです。といっても紹介が早々に途絶えたわけではありませんよ笑。前回のインタビューで松尾さんに紹介いただいた作家さん、私はまだ作品を見たことのない方なので、インタビューをするからには生で作品を見てからにしたい!ということで4月に展示に行ってからインタビューさせていただくことになりました。

どうしても紹介は調整に時間がかかってしまうので、毎月の連載のためにも、単発インタビューも挟んでいきます!

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今回インタビューに応じていただいた愛甲次郎さんは、2016年に東京芸術大学日本画専攻を卒業し、現在はフリーで作家活動を続けられています。ミュージシャンのジャケットにアートワークを提供したり、インスタグラム経由で外国の方からの作品購入が多いそうです。長い付き合いの友人ということもありますが、今はそれを超えて、河口が個人的に非常に応援している作家です。

愛甲次郎instagram

それではいってみましょう!

 

河口:愛甲さんは、高校卒業後、一旦就職してから芸大を受験されていますよね。

愛甲:はい、そもそも大学に行くっていう考えがなくて、ほんとに1ミリも考えてなかったんです。高校が自由の森学園っていうところだったんですけど、名前のごとく本当に自由で。何も考えずに自由に生きていたら、気づいたら自動的に高校を卒業していました。

河口:工場の自動ラインみたいですね笑。でも、そこからの芸大受験、そして今もフリーで独自の画風を模索しながら描いているところを見ると、相当考えがあるようにも見受けられるのですが。

愛甲:もともとモノづくりはしたいという強い思いはあったんです。ファッションにはとても興味があって、服も作ってみたかったですし。今はまだ絵を描いていますけど、将来的には絵画に限らず、あらゆるメディアを使って自分の世界を表現していきたいと考えています。美大に行こうと思ったのは、2年間働いてみて、自分が普通に一生会社員として働いていくイメージが持てなくて。若いからなにかやらなきゃ、という焦りの気持ちもありました。服を作ろうと思っても服飾の専門学校に行ったら、服だけになってしまうなぁ、と思ったというのが美大進学を考えた大きな理由です。芸大に行ったのは、美大と言えばそれしか知らなかったから。日本画を専攻したのは、わびさびの世界感や日本文化に粋なものを感じていたからです。

河口:そうすると、大学ではやりたいことは実現できたのでしょうか。

愛甲:半々といったところです。正直、大学はきつかったです。学費のために働くことをやめられなくて、その中で毎月1枚のペースで作品を完成させていくのは、受験絵画から離れて自分の画風を模索していく中ではとても難しかったです。絵について考える時間は十分にはとれませんでした。

一方で、美術に関する知識を得られたことは良かったです。大学にいる間は、授業がたくさん用意されていて、もちろん学費は払っているわけですが、自分が選択すれば時間も手間もかけずに、新しい知識を吸収することができる。2年間社会人をやっただけに、それは本当に貴重なことだと思ったので、授業はかなりとっていました。

河口:なるほど。大学で満足のいく制作活動ができたわけではなかったのですね。先日インタビューさせていただいた松尾さんとはまた違う形で大学を活用されています。現在は、画風を確立しつつあるように思いますが、卒業後の制作活動についてはどうですか?

愛甲:卒業して1年目はほとんどが大学院に進学している同級生と、まだ関係が近かったので、苦しかったです。また、フルタイムで働きだしたので、絵を描く時間がなかなか確保できず、同級生に対して嫉妬するということもありました。でもそれ以上に、大学の先生に好かれる絵を描かなければいけない、という思いを勝手にもってしまって、自分で自分の作品を批判ばかりしていました。2年目に入ってからは物理的に大学から距離が離れて、絵に専念するために仕事も変えて、いい環境で制作できていると思います。

これは自分の作品が好きになってきた頃の大学時代の作品で、

jiroaiko1現在はこのような作品を描いています。(作品を何枚も持参して、見せてくれる愛甲さん)

螂ウ
Inkedjiroaiko3昨年、初めて公募展に応募して、小山登美夫が審査員をしているもので入選できたことは、とても励みになりました。あまり作家友達もいなく、いつも家で一人で描いているので、自分の方向性が間違っていないんだな、と背中を押されたような気持ちです。

河口:それは嬉しいですね。これまで悩みつつもいい方向に向かってきている感じがあります。これからはどのように発展していこうと考えていますか?

愛甲:自分には、表現したい世界感は漠然と昔からあるんです。「こういう世界に住みたい、自分のまわりをこういう世界で埋めたい」というような。それは心理描写ではなくて、あくまでもグラフィカルなものです。内面を表現することには興味がありません。表面的なもの以外への愛情がないんです。見る人の感情や思考の操作をしたいとは思いません。内面描写ではないといっても、もちろんその世界感はぶれます。ぶれるというか、自分が新しい世界を知っていく度に、外部の要素を受けて大きく育っていく、という感覚です。以前より、その世界感と自分の描いているものは近くなってきている感覚はありますが、まだまだ追いついていないです。絵以外の表現方法もできていないですし。アーティストとして成功したいという気持ちはもちろんありますが、今はまだ、とにかく自分の思い描いている世界感に少しでも追いつくことに必死です。

河口:なるほど。同じ日本画専攻出身者としてこれは気になる質問なのですが、日本で活動することの意味について考えることはありますか?

愛甲:ないです。(即答)

河口:すごいきっぱりしてますね笑。私は、日本でアートをやることの意味とか考える達なので、ここまできっぱり言われると爽快です。

愛甲:モチーフとして日本のものは良く使いますし、海外の方からの受けがいいのもその影響があるのだとは思いますが、自覚的なことではないです。画材も和紙と墨を使っていますが、今は単にそれが扱いやすく自分の作品に向いていると思うから使っているのであって、日本人だから、日本画出身だから、という理由ではないです。身近にあってそれらを使うことが自然だから、ということでしょうか。海外に行ったら、モチーフも画材も変化するのかもしれません。

河口:ありがとうございます。最後になりますが、こだわりの道具を教えてください。

愛甲:道具ではないですが、、こだわりといったら、制作環境でしょうか。住居と分離したアトリエを持っているわけではないので、部屋には常に余分なものは置かないようにしています。制作するときには部屋を一回きれいにします。あとは、作業中つなぎを着たりエプロンをする作家の方は多いと思うんですが、作業着は絶対に着ません。画材、例えばマスキングテープとかも、手でちぎることはなく、絶対に鋏できります。ティッシュも折って使います。儀式、とまではいかないけれど、絵を作る空間なので、ひとつひとつの動作すべてに気を配ります。自分が絵を描く工程は、茶道の世界に近いかもしれません。

これから良いものを作るのに、視界に入るものが美しくないのはだめです。部屋で使用するものについては気を使っているので、寝間着もかなりこだわりのものをきています。今着ている私服のほうが断然安いくらいです。笑

自宅の制作場所

自宅の制作場所



河口:こだわりが強いことは知っていましたが、制作環境はすごいこだわり用ですね。他の作家はどんなアトリエを使用しているのか、結構みなさん気になるみたいなので、見られて良かったです。都心から少し離れていることもあって、窓から緑が見えるのも素敵ですね。今日はありがとうございました!今後の作品展開、楽しみにしています。

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